公的優遇措置
1. 経済特区(SEZ)における優遇支援(法人所得税の減免)
ポーランドではこれまで14の地区を経済特区として優遇支援を受けられる対象として来ました。2018年に施行された新しい規制ではポーランド全土を優遇支援の得られる対象地区として設定しています。また、新規制以前に許可された案件の優遇支援は当初の満了期間(2026年12月31日)まで継続されます。
優遇支援内容:
新規投資を行う地区の条件に応じて、法人所得税の減免が受けられます。
ポーランドの法人所得税率は19%です。
適応範囲:
- 事業体の設立
- 既存事業体の能力拡大
- 事業体の生産活動の多様化、
- 既存事業体の製造工程全体の根本的な変更
- 新規投資に付随する雇用費用
優遇支援を受ける条件
量的基準と質的基準の両方を満たしていることが条件です。
条件1:量的基準:最低投資額(※1)
最低投資しなければならない額は、新規投資が行われる地域(群)の失業率に左右され異なります。失業率が高ければ高いほど、最低投資額が低くなります。
投資地区の失業率が国の平均失業率の60%以下 :1億ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の60%を超えるが平均以下 :8,000万ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の100%以上130%未満 :6,000万ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の130%以上160%未満 :4,000万ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の160%以上200%未満 :2,000万ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の200%以上250%未満 :1,500万ズロチ
投資地区の失業率が国の平均失業率の250%以上 :1,000万ズロチ
※1最低投資額とは、投資経費として認められるものの合計額です。
投資経費として認められるものの例:
- 土地購入・永久使用料
- 建設費
- 建物レンタル費用(大企業の場合5年まで、中小企業は3年まで)
- 機械の新規購入費用
条件2:質的基準
経済発展基準と、人材育成基準の二つのグループに評価基準の項目が分かれています。
各評価基準にはポイントが振り分けられており、最大10ポイント中、6ポイント以上を獲得しなければなりません。また、経済発展と社会開発の各規準で1ポイント以上得なくてはなりません。
優遇支援率40%地域では5ポイント、50%の地域では4ポイントまで引き下げられる場合もあります。
-サービス部門
a.経済発展基準(各1ポイント)
- 高品質食品部門、輸送部門、電気・電子機器の専門分野、航空宇宙分野、衛生製品部門、医薬品および医療機器部門、機械部門、エコ建設部門いずれかに該当
- ポーランド外で目標販売レベルを達成している。
- 研究開発を実施している。
- ポーランド外にまで範囲の及ぶ近代的なビジネスサービスの本拠地が設立されている。
- 中小企業または中規模企業などに該当する。
b.人材育成基準(各1ポイント)
- 高賃金で安定した雇用
- 環境への影響が少ないビジネスである
- 投資場所
- 教育及び専門資格取得の支援を行う
- 従業員に対する社会保障を行う
-産業部門
a.経済発展基準(各1ポイント)
- 高品質食品部門、輸送部門、電気・電子機器の専門分野、航空宇宙分野、衛生製品部門、医薬品および医療機器部門、機械部門、エコ建設部門いずれかに該当
- ポーランド外で目標販売レベルを達成している。
- 研究開発を実施している。
- 主要なクラスターに参加している。
- 中小企業または中規模企業などに該当する。
b.人材育成基準(各1ポイント)
- 新規投資対象である事業かつ安定した雇用を提供する専門職をおく
- 環境への影響が少ないビジネスである
- 投資場所
- 教育及び専門資格取得の支援を行う
- 従業員に対する社会保障を行う
優遇支援持続に関する条件
- 投資支出に関する資産の5年保持すること
- 新規投資完了日から5年間、支援を受けた投資地区での投資を継続すること
- 申告のあった新規投資雇用数を5年間保持すること
(注:零細・小・中企業の場合3年)
優遇支援を受けられる期間
支援を受ける地域の支援率に応じて、10年、12年、15年と決定される。
ただし、新規投資前に経済特区ステータスを有していた土地では一律15年とされる。
地域別優遇支援率
- 優遇支援率50%: ルブリン県、ポトカルパチェ県、ポドラシェ県、シフィェンティクシシュ県、 ヴァルミア・マズールィ県、シェドレツキ管区
- 優遇支援率40%:クヤヴィ・ポモージェ県、ルブシュ県、ウッチ県、マウォポルスカ県、オポーレ県、西ポモージェ県、シェドレツキ管区を除くマゾフシェ県各郡
- 優遇支援率30%: ポモージェ県、シロンスク県
- 優遇支援率25%:ドルヌィ・シロンスク県およびヴィエルコポルスカ県(ポズナン市とヴロツワフ市を除く)
首都ワルシャワ地域の支援率- 優遇支援率25%:バラノフ、ブウォニエ、グラ・カルヴァリア、グロジスク・マゾヴィエツキェ、ヤクトロフ、カンピノス、レオンチン、レシュノ、ナシエルスク、プラジムフ、タルチン、ザクロチム、ジャビア・ヴォラの地区
- 優遇支援率35%:ドンブロフカ、ドブレ、ヤドゥフ、カウシン、コウビエル、ラトヴィチ、ムロズィ、オシェツク、セロツク、シエンニツァ、ソビエニエ・イェジョリ、ストゥラホフカ、トゥウシュチュの地区
中企業の場合:上記支援率+10%
零細・小企業の場合:上記支援率+20%
2.政府の助成金
2011~2030年までポーランド政府の投資助成プログラムによる補助金が受けられます。
3.不動産税の減免
各自治体によって不動産税の免除の条件が決定されます。
不動産とみなされる資産:
- 土地
- 建物あるいはその部分
- ビジネス活動が行われている建築物の部分